Ads by Google

  • --/--/--(--) --:--:--

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

そこの武官はティーンエイジャー(6−3/9)

  • 2008/12/01(月) 17:53:26

 そのとき耳をつんざく金属音、ハルバートはその頭を上げて屋上を睨み付ける。
 突然現れたMWに、テロリストたちも慌てたらしい。むやみやたらに発砲していた。
 龍平はメインモニターに映るテロリストを見ながら、サブマシンガンやアサルトライフル程度の火器ではダメージなど与えられないのにと、半ば同情を覚える。
「頭部機銃、スタンバイ!」
『FCS作動良好、ターゲット自動捕捉』
 モニターに映るテロリストたちが次々に赤丸で囲まれるのを見て、龍平は右のトリガーを躊躇なく引き絞る。
 頭部に搭載された七・六二ミリ機銃が容赦なく火を吹き、テロリストたちを無慈悲に撃ち抜いていく。
 数人が屋上から転落した後、屋上からの攻撃が止んだ。
 先ほど乗り越えた塀を跨いで、龍平は再び碧東中央高校の敷地に戻る。
 レバーを操作し、つま先に僅かに力を込めると、ハルバートは勇ましく走り出した。
 その駆動音はモーターの甲高い音と土を踏みしめる地鳴り以外はとても静かである。
 あっという間に正面のグラウンドが見えた。
 索敵レーダーに反応するまでもないのだろう、二機のMWはゆっくりと振り向く。
 ハルバートは立ち止まり、敵を睨み付けた。
「警告する。直ちに機体を停止させ、オペレーターは投降せよ。抵抗する場合は実力を行使する」
 外部スピーカーから鳴り響く龍平の声。
 龍平はチラリと側面モニターを見る。
 窓に貼り付いている生徒たちは一様に顔を見合わせている。その中には龍平と同じクラスの生徒もいた。
 再び正面を見据えると、敵はその手に持つ巨大なサブマシンガンをハルバートに向けようとしていた。
 龍平は反射的に左のレバーを倒す。ハルバートは左腕の防弾盾を構えた。
 次の瞬間、壮絶な爆発音が響き閃光がメインモニターを白く染める。
 敵のサブマシンガンが火を吹き、ハルバートの防弾盾を派手に殴り続けた。
 複合装甲と衝撃吸収ジェルのサンドイッチ構造になっている防弾盾はその重量と引き替えに、対戦車ミサイルの直撃を一度は防ぐほどの防弾性能を有している。
 携行火器による射撃では有効打を与えられる事はないと知ってはいても、タコ殴りにされるのは気分のいいものではない。龍平は苛つきながら右のレバーを操作する。
 ハルバートは左腕で防弾盾を保持したまま、右手を腰へと伸ばす。
 腰にマウントされたナイフ状の装備を手に取ると、射撃が止まる瞬間を狙って右腕を防弾盾の外に突き出す。
 次の瞬間、グリップの先端に付いたボタンを親指で押し込む。
 バネを弾く音が豪快に響き、次の瞬間ナイフの刃にあたる部分が勢いよく射出された。
 ソビエト特殊部隊、スペツナズの隊員が使用したといわれる特殊ナイフ、スペツナズナイフの機構をそのままMWサイズにした代物だった。
 飛び出したナイフの刃は弾丸並みのスピードで左側に立っていたMWの右脇に突き刺さる。
 その刃は妙な格好をしていた。先端こそナイフ状に鋭いが、中程から丸みを帯びて分厚い形をしている。
 次の瞬間、突き刺さった刃が閃光を放った。
 猛烈な炎と衝撃波、肩のパーツを吹き飛ばし、MWは真横に吹き飛ぶ。
 右腕はちぎれて、サブマシンガンを握りしめたままその場に落ち、トラックの荷台を押し潰していた。
 対MW用の近接兵装、グレネードナイフが見事にその性能を発揮した瞬間だった。
 間髪をおかず、ハルバートはグレネードナイフの柄を投げ捨て、防弾盾を構えたまま突撃する。
 その突撃を、僚機を支えるのに気を取られたMWは避けられなかった。
 重量のある盾ごと体当たりを食らい、もの凄い勢いで弾き飛ばされる。
 着地の瞬間サッカーのゴールを粉砕し、右手のサブマシンガンも離してしまっていた。
「よっしゃ!」
 龍平はハルバートの体勢を立て直しながら思わず叫んでいた。
 とりあえず厄介な火器は封じた、次はどうする、龍平の身体は考えるよりも早く次の行動に移る。
 メインモニターにはぎくしゃくとした動きで立ち上がる敵の姿が映っていた。

この記事に対するトラックバック

この記事のトラックバックURL

この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

この記事に対するコメント

この記事にコメントする

管理者にだけ表示を許可する